社会包摂とアートシンポジウム

孤立しがちなミュージシャン

Black BIRDS LIVE&TALKを振返って

音楽でふみだす一歩。ひきこもり,社会不安...

1.バン ― 必死に生きています!それだけです。

2021年9月11日(土)に,ロームシアター京都 ノースホールで撮影した,Black Birds LIVE&TALKで語りつくせなかった色々な話を,メンバーの方に語っていただきました。

photo by NAZOCHU
photo by NAZOCHU

2021年9月11日(土)に,ロームシアター京都 ノースホールで撮影した,Black Birdsのライブとトークは,youtubeにて公開していますのでぜひご覧ください。

Black BIRDS LIVE&TALKを振返って

短い時間で,話しきれなかったこぼれ話,そもそもバンドができるきっかけは何だったのか?

Live&Talkを振返ってどうだったのか,後から時間を取ってゆっくりインタビューしてきました。

※後半,バンドの成立の話を伺っていた時は,ベースの山ちゃんは不在で,代わりに当日のライブは所用のため出演できなかったNishiさんが話に参加しています。

photo by NAZOCHU
photo by NAZOCHU
photo by NAZOCHU
photo by NAZOCHU

──まずは,Black Birdsが所属する特定非営利活動法人若者と家族のライフプランを考える会,通称LPWについて教えてください。

 

Naka)ひきこもり,発達障害など,様々な理由から社会参加に困難を持つ若者を支援する団体として2010年より活動しています。

京都市,京都府のひきこもり支援の助成金事業として引きこもり支援を行う他,障害福祉サービスとして就労継続支援B型事業所「あーとすぺーす絵と音」を運営しています。

──後からまたLPWについてお伺いしますが,先にメンバーの皆さんに,当日のこともお聞きしながらインタビューしていきます。まずは,ドラムのバンさんお願いします。

バン ―― 必死に生きてます!それだけです。

ドラム バン
photo by NAZOCHU

──トークの中で「音が聞こえなくなって」と言っておられましたが,耳の病気のこと,手術のことを教えてください。

 

バン)2018年4月に突然,全く聴こえなくなりました。「突発性の難聴」で補聴器では全く”駄目”ということで,開頭手術による”人工内耳”の埋め込みを,右側を2018年夏,左側を2019年の夏前に京都大学付属病院でしてもらいました。

大変感謝しています。

 

──耳が悪くなって音楽ができないと思ったときはどうしようと思われたのでしょうか。

 

バン)最初は絶望しました。音楽どころか,全く音が聴こえないわけですから。聴こえなくなった4月から手術の7月まで,しょうがないので洋画の映画を見始めました。

邦画だと,セリフが全くわからないですが,洋画だと字幕があり解るので。

そのうちに,「ロッキーのテーマ」とか,頭の中で音楽♪が鳴っていると実感するようになって希望が湧いてきました。

8月に人工内耳のプロセッサーをいただき,そこから人の話声や好きなCDを聞くトレーニングをしています。前の健聴の時と比較して5~6割聞き取れますが,分からないときはしょうがないと開き直っています。この状態でも感謝ですし,気に病むとストレスになるので。

 

──バンド活動は,病気の前と手術後で違うことはありますか?

 

バン)10代後半から20代後半くらいにかけてプロを目指してバンド活動をしていましたが,今から思うと,勝手気ままというか,すごく自分勝手な奴だったなと反省しています。

今こうしてバンド活動をさせてもらって,心掛けているのは,Nakaさんだったり他のメンバーに迷惑をできるだけ掛けないように気を付けています。

 

ドラム バン
photo by NAZOCHU

──手術の後,バンドに復帰されるときはどうでしたか?

 

バン2018年の末にLPWに復帰してからは,少しずつという感じでした。話はほとんど聞き取れませんでしたが,楽器の音は何となくわかるんですね,勘ですかね?

そこからメンバーやスタッフの方々に支えてもらって,今に至るという感じです。

 

──2年間の手術の間は音楽の代わりに何をされていましたか?

 

バン)他に何をやっていたかというと,まあ,必死に生きています。それだけです。